「サクラソウ美術館」開催中!
百合が原緑のセンター中温室では、古くから日本人に愛されてきた古典的な園芸植物であるサクラソウと、海外で愛されてきたサクラソウの仲間、プリムラ・オーリキュラ等を展示する「サクラソウ美術館」が好評開催中です。
江戸時代、荒川流域のサクラソウを中心に、盛んに品種改良されて、花に出る様々な特徴に名前を付け、花の個性として大いに楽しんでいました。その一部を花の写真とともにご紹介します。
【花色について】
花色としては、紅、桃、赤紫、紅紫、藤、白、赤鷺色など、
豊富な色がある。
またサクラソウの花は、表と裏が違う場合が多いので、別々に示すのが通例。
花色のほかに以下のような表現方法がある。
単色の「無地」、花弁中心部が白い「目白」、
花弁の縁以外が白い「内白」、花弁全体にすじ状に色が入る「絞り」などがある。
そのほかにも、
〈曙白(あけぼのじろ)〉裏の色がほんのり表ににじみ出るもの
〈酔白(よいじろ)〉ほんのり薄く桜色のもの
〈移白(うつりじろ)〉最初の花色が時がたつと白く移り変わるもの
など、豊富な表現方法がある。
【花形について】
サクラの形に似た標準型、花弁が細い細弁、
花弁が広い広弁、広い花弁が重なった重ね弁などがある。
【花弁について】
花弁の先の形。サクラのように中央に深い切れ込みが入る「桜弁」、
内側に軽く巻き込む「梅弁」、細かい切れ込みが入る「かがり弁」などがある。
【花容について】
花弁の開いた平咲き、縁が手前に浅く曲がった浅抱え咲き、
花弁全体が手前に曲がった抱え咲き、盃状に花弁が開いた盃咲きなどがある。
<白蜻蛉(しろとんぼ)>
表が酔白で裏は淡い紅色、かがり弁の平咲き品種。
〈花行脚(はなあんぎゃ)〉
桜色の抱え咲き・重ね弁・桜弁品種。
〈児童(じどう)〉
つかみ咲きの桜弁品種。
〈手拍子(てびょうし)〉
目白の大輪花で、桜弁・浅抱え咲き品種。
〈夕景色(ゆうげしき)〉
紅色底白のかがり弁・八重咲きの品種。
さて、今の季節、各地でみられる桜草ですが、
海をまたいだヨーロッパのサクラソウを並べての展示はめずらしいのではないでしょうか。
日本で園芸品種創作が流行していたのとほぼおなじ頃、
イギリスでもサクラソウの属するプリムラ属の花の新品種が競って作られていました。
流行となったショウ系は、花弁の緑のふちどりや、葉や花に白い粉をもつなどの特徴があります。
そして今でも新しい品種が作られています。
プリムラ オーリキュラ ‘スター・ウォーズNo1’
ヨーロッパではプリムラの花は、
いちばん中心部は喉(throat)、
その周りを囲む円模様は目(eye)と呼ばれています。
緑のふちをもつものはGreen Edged。
上の写真は、Gray/White Fanciesというカテゴリーです。
そして、屋外のロックガーデンではつぎつぎと高山植物の小さな花が咲いてきていますが、
そのなかにはプリムラの姿もあります。
プリムラ属は多くがヒマラヤに自生する高山植物です。
プリムラ マルギナータ ‘プリチャーズ ヴァラエティ’(cv.Prichard's Variety)
春と秋に活動し、夏は涼しい日陰で、冬は雪の下で休むサクラソウやプリムラは、
北の地である北海道で育てるのにむいています。
伝統園芸の世界をみせる「サクラソウ美術館」は、
緑のセンターを入ってすぐの温室で開催中です。ぜひ足をお運びください。
=サクラソウ美術館~日本や欧米のサクラソウの展示=
開催期間:平成27年4月21日(火)~5月10日(日)※月曜日休館
開催時間:8:45~17:15
開催場所:百合が原緑のセンター中温室
温室入館料:高校生以上130円 ※ただし、65歳以上の方、障がいのある方は証明書等の提示で無料