公園についてABOUT

植物リサイクルPlant recycling

花壇を管理する上で土作りは重要な作業です。百合が原公園の花壇土壌の物理性、化学性の改善には、有機物(=堆肥)の補給が不可欠です。
百合が原公園では、公園を管理するときにでる様々な植物の廃材を主な材料とした堆肥やチップの製造から施用までを行っています。
それぞれの廃材を使い分け、必要に応じてまた植物の根元に戻すやり方は、周りの自然にあまり迷惑をかけないで公園管理を持続する方法と言えます。環境への負荷が少ない分、長い目で見ると低コストの植物管理といえます。

リサイクルする主な植物廃材

従来はゴミとして捨てられていたものも、現在は堆肥の材料にしています。
これにより、土を豊かにするのと同時に、ゴミを減らすことができます。
利用している植物廃材は、形や性質、長所・短所により大きく5つにわけられます。

(1) 樹木の剪定枝、竹、根曲竹、枯損木の幹や根、板や柱、丸太など

剪定枝、竹、根曲竹は分解の遅い材料です。バラやツツジ、シャクナゲなどの灌木の植え床や、樹木の根元に敷き詰めるために最初に細かく砕きます。地面からの水分の蒸発や、地温の変化を抑えたり、雑草の繁茂を抑えます。また良く踏まれるところでは緩衝材として根を保護します。
直径50cmを超える枯損木の幹は1m程度の輪切りにして、樹林地内に並べ、そこを好む虫のすみかとなることを期待します。場合によっては、ベンチなどに加工することもあります。
板や柱、焼き丸太は細かく砕き、おもに園路の舗装材に使います。

冬に広葉樹の剪定をしている様子
夏に生垣の剪定をしている様子

樹木の剪定で発生した枝葉はチップ材や堆肥に利用。

(2) 刈り草、除草、花壇植物の茎や花がら、根、荒縄など

いわゆる草ものは、花壇の堆肥に使います。丈の長い草や、硬い繊維の草は細かく砕いてから堆積します。分解が早く、2週間程度の間隔で切り返しをして水分や酸素の量を調整します。5月から7月までに堆積した材料は、当年の10月の植え替え時に堆肥として床土にすきこみます。

芝生を刈っている様子
植栽前の花壇で雑草を抜いている様子
ユリの花がらを摘んでいる様子

刈りとった草や根から抜き取った草、花壇で発生した花がらなどは堆肥に利用。

(3) 落ち葉

園路や特定の場所の芝生にたまった落ち葉は、掃き集めて堆積します。分解が遅いので切り返しは年に数回おこないます。堆積2年目の秋から特定の植物のマルチング材料として使用し、3年目の秋から特定の植物の堆肥に、4年目以降に苗栽培用の床土や鉢栽培の堆肥に使います。
大通公園などで掃き集めた落ち葉も、百合が原公園に集積します。

秋の紅葉と落葉
枯葉の掃除中

秋の紅葉で落ちた葉や枯葉などは堆肥に利用。

(4) 植木鉢の用土

温室展示用などの鉢栽培で使用した用土は集積し、特定区域の芝生の目土としてまき散らします。
苗生産に使用した有機物の多い用土は、宿根草やロックガーデンの床土の取替に再利用します。

(5)その他

割りばしなど、あらゆる植物性の『ゴミ』として扱われるようなものもすべて、何らかの加工をして再利用しています。
これらの植物廃材は、さらに細かく分別し、堆肥やチップ材に加工しています。

箱積みされた使用済みの割りばし

半年で3箱分にもなるレストランで使用する割りばしも、廃材として利用。

植物リサイクルのあゆみ

公園の花壇面積の過半を占める世界の百合広場では、当初、ユリのコンデションを維持するため、3~4年に一度、床土を30cmの深さで新しい土に取り替えていました。ユリには同じ土で連作すると、年々生育が衰える性質があるからです。また、公園は埋め立てで基盤が造られたので、花壇の床土は良好な状態ではなく、化学肥料に頼るにも限界がありました。造成から5年を経過した平成4年頃から花壇植物の衰退が始まったのです。
百合が原公園では、栽培植物の花がら枯茎、落ち葉は病気を予防するために公園からゴミとして持ち出し、剪定枝は園内で焼却、除草や刈草は樹林地に野積みしていました。花壇植物の衰退が傍らにありながら、堆肥の資源に使わないのはもったいなく、ゴミ処理は無駄な出費でした。
平成3年、4基の堆肥ピットを作り、落ち葉の堆肥化を始めました。
平成6年には、札幌市の「剪定枝リサイクル調査事業」(現:緑のリサイクル事業)が始まり、枝葉粉砕機が配備されて園内の剪定枝、廃材のチップ化とマルチング再利用が大幅に拡大しました。
平成7年からは刈草と除草の堆肥化、そして平成8年からは、堆肥ピットの増設が本格化し、花がら、枯茎の堆肥化を含めたほぼ全ての植物廃材の再利用ができるようになりました。
平成10年からはユリの刈り茎、球根の堆肥化を試験しています。平成11年には、70馬力の枝葉粉砕機(ドイツ・イェンツェン社製)1基、バックホウ1台が配備されました。
当初4基で開始した堆肥ピットも、平成20年現在31基となり、札幌市でも最大級の植物リサイクル施設となっています。

緑のリサイクル事業

札幌市では、平成6年から街路樹、公園樹剪定枝の再利用についての調査を開始し、「緑のリサイクル事業」を平成10年から実施しています。
百合が原公園を始め、市内数か所の公園に緑のリサイクル施設を配置し、札幌市が排出する剪定枝、刈草、落ち葉などの資源の有効利用を図る計画です。